聴く奄美
「奄美諸島史の憂鬱」を皮切りに、
「奄美の島々の楽しみ方」や「あまみ便りBlog」 で
紹介されてとても気になった本。
これは図鑑ぽいけれど、ただの図鑑ではない。
なんとQRコードを使って、動物や鳥たちの鳴き声を
ダウンロードして聴くことができる。
カテゴリー別にみると、
森 30
里 21
海 6
静 18
暮 6
と、「静」に属する17の動物たちを除けば、
64の鳴き声に耳を傾けられる。
「聴き歩きフィールド」と題するゆえんだ。
アマミノクロウサギがトップを飾り、
ハト、コノハズク、ルリカケス、ヤモリ、クイナ、
クジラ、イソヒヨドリなど、島の主役たちの声を聴ける。
ちなみに「静」とある「静かな生物」にはハブも登場する。
もちろん鳴き声は無いのだけれど。
「暮」とあるのは気になるところだけれど、
「暮らし」のことで、なんと「大島紬」の音も聴ける。
思い起こせば、島は自然の音にあふれていた。
目覚めるころ、静寂のなか、いつも鳩の声が聞えていた。
夜は、ヤモリの鳴き声を聞くと、
島の世界に引き込まれるようで安心した。
後年、島に帰ったと実感するひとつがヤモリの鳴き声だった。
夜も窓は開け放しで寝て、
いつでも、動物たちの鳴き声を耳にしていたのは、
贅沢な経験だったと、いまさらのように知らされる。
昔の島人は、ただ単に聞いていたのではないと思う。
晴れを喜んだり、台風の到来を知らせあったりというような、
動物や鳥たちの声を察知していたに違いない。
この本は、そんな奄美の贅沢を教えてくれる。
「聴き歩きフィールドガイド与論」も欲しい。
で、豚や牛の鳴き声も聴きたい。(^^)
飛び出す絵本というつくりがあるけれど、
これは、「飛び出す音本」だ。
ちなみに、ぼくはリュウキュウアカショービンの声を
携帯でときどき聴いている。
キュロロロロ、と、昔、聴いていただろうに、
気に留めたことのなかった声が、
島の世界への通行手形の呪文のようなのだ。
目覚ましの音にしたいなと思う。
奄美の豊かさを伝えてくれる一冊だ。
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コメント
「奄美の豊かさ」を伝える新しい伝達手段、楽しいですね。
こんな簡単なことでも、あるのとないのとでは全然違います。
うちの職場でM、この図鑑の鳥の鳴声を携帯の着信に利用して
楽しんでいる人もいます!
投稿: NASHI | 2007/06/18 21:51
NASHIさん、コメントありがとうございます。
豊かだなぁって改めてわかります。
この本、着目がすばらしいと思うのです。
鳥の鳴き声の目覚ましがぼくはほしいです。
着信もいいですね。
投稿: 喜山 | 2007/06/18 23:44
ブログで紹介していただき,ありがとうございます。
この本を作っていて,本当に奄美は音が豊かだと感じました。
思えばサシバやアカショウビンなど季節を告げる生き物の到来は,
鳴き声という音で感じていました。本から聞こえる音を聞くと,
鳴き声と共にその景観が,空気の感触を含めてよみがえるような
気がします。
誰でも気軽に聞けるだけでなく,着信や目覚ましにして遊べる
点が携帯の良い点だと思います。私もいろいろな音を登録してい
ますが,奄美の音が携帯から流れるとそれだけで嬉しくなります。
投稿: 担当編集です | 2007/06/19 14:18
担当編集さま
素敵な本を作っていただきありがとうございます。
奄美の音が身近なところある。
ぼくもそれだけで嬉しくなります。
身近な空間を奄美・与論・琉球弧で
いっぱいにしたくなりました。
投稿: 喜山 | 2007/06/19 19:28