イューガマの謎 2
なぜ、与論島では、スクをイューガマと呼ぶのだろう。
スクという固有名を剥奪するかのように、
イューガマ、お魚ちゃんと、呼ぶのだろう。
スクの名前を知らなかったのだろうか?
それは、考えにくい。
イュー(魚)を知っていて、スクを知らないというのは不自然だ。
たくさんの与論言葉のなかで、
そこだけが盲点のように抜け落ちるのは、ありえないだろう。
しかも、何といっても、スクという重要な魚なのに。
それなら、祭儀としてのシヌグがウンジャミと分離し、
やがてシヌグだけが残った経緯のなかで、
根拠となったスクの存在が次第に希薄になり、
それとともに固有名も忘れられていったのだろうか。
これも、考えにくい。
逆なら、あると思う。
祭りとのつながりは忘れられたけれど、
その名だけは残った、と。
そのほうが自然だろう。
『ドゥダンミン2』でも、
旧暦六月の大潮になると、
イュウガマが寄ってくるのではないかと血が騒ぐ。
と、この魚の持つ不思議な習性と、
それが島にもたらす大きな恩恵は、
忘れられたことがなかった。
それなら、なおさら、
なぜ、スクとよばないのか、
いや、スクと呼ばないまでも、
なぜ、固有名が与えられていないのか、
不思議なのだ。
つづく。
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コメント
ほとんど思いつきのレベルの話ですが、イューガマは
いわば「THE FISH」に当たる表現ということはありませんか?
「そこで最も代表的なもの」は、固有名ではなく
一般名で示すといった事例は古今東西で少なくなかったような……
(といいつつ、とっさに他の例が思い浮かばないのですが・汗)。
投稿: kamezo | 2007/06/15 20:57
kamezoさん、コメントありがとうございます。
お前こそ魚の中の魚。そんな感じでしょうか。
たしかに、そういう最高級の表現だとしたら
ありえるかもしれないですね。
面白いのは、「ガマ」が、
「ちゃん」という意味だろうということです。
お前こそ魚の中の魚ちゃん。(^^)
うん、でもこの理解、楽しいですね。
示唆をありがとうございます。
投稿: 喜山 | 2007/06/15 21:02
「ガマ」はやはり接尾語なんですね。
お魚ちゃんと書かれていたので、
接尾語「グヮ」と同じなのかなとは思いましたが。
適当な考えを申し述べて恐縮です。
魚の中の魚という呼称はありうるとは思います。
奄美大島でも、集落を忘れましたが、
ヤコウガイのことを「カインニャ」、すなわち「貝ンニャ」、
貝という貝と呼ぶところがありましたから。
ほとんどの集落が「ヤクゲー」と呼んでいるのに、です。
これなどは、KING of 貝というニュアンスを感じる名称ですね。
投稿: NASHI | 2007/06/15 21:40
最上級ではなくても「当地で魚といえばこいつ」
というような、最も親しまれている魚だから
「サカナちゃん」でOKなんていうことも、
ありそうですね。
あれ? 結局、同じことかな?(汗)
ところで、「魚の中の魚」という名前の例を
新潟で発見しました。
彼の地ではサケのことだそうですが。
http://www9.plala.or.jp/maruyoshisyoten/
投稿: kamezo | 2007/06/15 21:58
いえ、NASHIさん。
「魚溜まり」は、語義の広がりを与えてくれる
すごく素敵な解釈です。
それこそ、NASHIさんのブログの冒頭の画像を見れば、
「魚溜まり」のリアリティを感じます。
「カインニャ」。堂々たる響きですね。
投稿: 喜山 | 2007/06/15 22:44
kamezoさん、コメントありがとうございます。
新潟の「魚の中の魚」の例はすごいですね。
なるほど、でした。
なんだかぼくが次に書こうとしている内容は、
信憑性が低い気がしてきましたが、ご笑覧ください。
ときに、サカナちゃんていうと、
サカナくんを思い出しますね。(^^;)
投稿: 喜山 | 2007/06/15 22:50
「ぐぁま」は、小で、子は「くぁ」で、小さいといいことですよね
「うお」のちいさいというだけのことではないのでしょうか
ウシグァマ、ハニグァマ・・・イウグァマ
ふつうのユンウフトゥバかと思いますけど
投稿: サッちゃん | 2007/06/16 00:45
サッちゃんさん コメントありがとうございます。
そう、そうですね。それだけのこと。
ふつうのユンヌフトゥバ。
それを自分の納得いくように考えてみたいのです。
ご笑覧ください。
投稿: 喜山 | 2007/06/16 08:32