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2007/04/28

アグはブローチ

「アグ(友達)」の語源は、「ブローチ」かもしれない。

高橋さんの論文によると、
沖永良部でも同世代の友人のことをアグと呼ぶという。
思うに、アグが琉球弧にひろがる言葉なら、
アグはブローチ、首飾りの意味かもしれない。

沖縄、奄美の共通地名を研究している牧野哲郎さんは、
鏡味完二の『日本地名学』のなかから、
アグにつながる地名について紹介している。

「日本国内には海岸や河川などの、
水に縁のある場所にアゴやアンゴの地名」があるとして、
それが日本古語やアイヌ語、朝鮮語には適訳がみつからないけど、
マレー語には、アゴは「頸飾」、
アゴックには「ブローチ」「珠数の頸飾」の意味があるという。

 この地名は最初は真珠などの飾玉を採集する海岸に
 命名せらfれたものが、
 そこから真珠のない海岸に移住した漁夫らを呼ぶ名ともなって、
 そこには地名の根が下されたと考えられる。
 青森県の方言に「漁夫仲間」を指して、
 Akoというのがある。
             鏡味完二『日本地名学』

牧野さんは、ここから連想して、
徳之島南端の阿権(アグン)、竜郷の赤尾木(アーギ)、
竜郷、瀬戸内のアンキャバ、糸満の阿波根(アーグン)、
そして、わが与論の赤佐(アガサ)などをつなげている。
これは楽しい連結だ。

そのアグ(ン)が、仲間、友人を意味するアグ
にもなっていったと連想すると、これも楽しい。

青森県の例と変わらず、
漁師仲間をアグと呼んだものが、
仲間・友人の意になっていったと解してみる。

牧野さんに感謝しながら、
アグの広がりを想うゆうべ。

そういえば、アガサの海よわたしらの♪と、
茶花小学校では歌ったけれど、
これは、「貝の採れる海よ」、
「首飾りの海よ」、「漁師仲間の海よ」
という替え歌にもなるってことだ。


「ブローチ」から「友人」へ。
言葉は、地名と関係もつないでゆくんですね。



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