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2007/03/03

『LOVE』はビートルズ編集ことはじめ

 2006年の十一月に発売されたビートルズのニューアルバム
『LOVE』は、第三次的段階での世界とぼくたちの関係を如実に
伝えてくれた。

 『LOVE』は、ビートルズを人工的自然として受け取めてでき
た作品である。ビートルズの作品をイメージ的身体化したのだ。
 まず、この作品では、ひとつの曲を作品の構成単位と見なさず、
曲を構成するボーカルや音が個別分解されて、その要素の一個一個
を作品自体から切り離して、編集の対象にすることで曲を再構成し
ているのだ。これは、ビートルズを天然自然としてみたのではなく、
人工的な自然とみなした視点から生まれている。人工物と見なした
から、それぞれのパーツを切り離してくっつける編み直しが可能に
なったのだ。

 要素に分解されたビートルズを、イメージ的身体化するというの
は、個別要素を再編集して、ビートルズの分身をつくりあげるよう
に構成したということだ。解体と再構築である。『LOVE』はそ
うやって、いままで全く聞いたことのないビートルズ・ソングを実
現している。

 たとえば、「カム・トゥゲザー」のエンディングに、「ディア・
プルーデンス」が挿入されたり、「レディ・マドンナ」の間奏に
「ヘイ・ブルドッグ」の演奏が挿入されたりと、はっとする作品が
多い。なかでも、亡きジョージ・ハリスンの、奥さんオリビアが
「すごいグルーヴ感」と表現した、「トゥモロー・ネヴァー・ノウ
ズ」の演奏をバックに歌われる「ウィズイン・ユー、ウィズアウト・
ユー」は想像以上に驚かせてくれた。

 1967年にアルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハー
ツ・クラブ・バンド』が発売された時、多くの西洋人がインド風の
音色に困惑したに違いない地味な、「ウィズイン・ユー、ウィズア
ウト・ユー」が、サイケデリックの真骨頂の「トゥモロー・ネヴァー
・ノウズ」の演奏に支えられると、なんともいけてる曲に聞こえて
くる。そして最初からこうなることが決まっていたように聞こえる
から不思議だ。

 ビートルズの『LOVE』は、人工的自然のイメージ的身体化が、
「編集」というプロセスであることを教えてくれる。いまは、「編
集」の時代なのである。

 ところで、「トゥモロー・ネヴァー・ノウズ/ウィズイン・ユー、
ウィズアウト・ユー」は、知らない人にはどうでもいいことだけれ
ど、ビートルズ好きは別の感興も呼び起こさずにいない。それは、
この曲の成り立ちが、ジョージの作品をジョンの作品が支える構成
になっていることだ。ジョンとジョージがタグを組んだことは、初
期を除いてほとんどない。その表面化しなかった共作がここで実現
しているということ。そしてさらに、ジョンはジョージと関係改善
する前に他界してしまっていたことだ。ジョージも他界してしまっ
た今、そのことを考えると、ひとつの作品を通じてとはいえ、関係
の和解が、残された人たちの手によってなされたことに、優しい気
持ちになれる。これは優しい編集、イメージ的身体化なのだ。

Love









『LOVE』

(超自然哲学32 「6.『LOVE』はビートルズを編みかえる」)


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コメント

おはようございます。
オオゴマダラの再生の応援ありがとうございます。
あの小さな浜の名前を教えてください。
私も子供のころ従弟の金久兄弟と遊んだ懐かしい場所です。
みかんの木にぶら下がって遊んだその時が今甦ってきます。
ホテルの敷地にもマラソン記念植栽のホウライカガミ植えてもらうよう交渉したいと思います。
敷地内の海岩に割れ目のトンネルがあって、アベックで探検すると
ととても面白い。かつてそこにはホウライカガミがたくさんぶら下がっていましたが、今どうなっているのでしょう。
観光客が去っていったようにオオゴマダラも住み着かなくなったような・・。マダラ族が続々と住み着く(定住)環境の島作り
 渡りをする蝶  マダラ族の安住の島  与論島。
           気ままな  泡盛さんでした。

投稿: 泡 盛窪 | 2007/03/04 05:24

盛窪さん、喜山です。

あそこは、フバマと呼んでいます。
小さな浜、でしょうか。

海岸の割れ目、散策にいいですよね。
観光資源として生かせばいいと思います。

金久のおばあさんは今も機を織っているでしょうか。
会える日が楽しみです。

マダラ族の島、与論。
夢見ます。

盛窪さん、それはそうと、マラソン、がんばってください。

投稿: 喜山 | 2007/03/04 08:56

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