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2007/03/11

デジタル・イン、アナログ・アウト

 第三次の世界、とくにインターネットに向き合う時、デジタル・
イン、アナログ・アウトが、生活の技術になる。
「デジタル・イン、アナログ・アウト」で言いたいのは、インター
ネットから入り、生身の世界に出口をつくるということだ。いくつ
かシーンを挙げてみよう。

 ・アマゾンで本を注文し、宅配便で受け取る。
 ・ネットで地図検索をして、実際に出かける。
 ・eメールで情報のやりとりをした上で、ミーティングに臨む。
 ・ネットで見込み客の質問を受け取り、商談で回答する。
 ・コミュニティで共通の趣味の人と知り合い、オフ会で会う。

 どれも、インターネットで済ませられることは済ませて実際の行
動に活かす点が共通している。実際の行動につなぐためにインター
ネットを使う、と言い換えてもいい。これは、インターネットとい
うコミュニケーション回路の向き不向きを踏まえたものだ。

 それはひと言で言うことができる。
 インターネットはきっかけづくりに向いているが、決めには向い
ていない。
 これはeメールの特性だと言ってもいい。eメールを介すると、
縁の無いところに縁が生まれる。それは利用者なら誰もがその初期
に不思議な出来事のように経験しているに違いない。最初から顔を
合わせていたら、すぐに親しくなるのは難しいのにeメールだと自
然と親しいやりとりが生まれやすい。だから、親しくなるきっかけ
を作るのにeメールは向いている。

 逆に、声や表情などの身体的な情報は限定されるから、仲良き友
人になるには、会うのが一番だ。言い換えれば、eメールのやりと
りだけで深い信頼関係を持つのは難しい。決め、には向いていない
のだ。
 これはもともと、インターネットで行うマーケティングの経験か
ら得られたコミュニケーション技術だ。インターネットを使うと、
見込み客は得やすい。ただし、取引を成立させるには会う必要があ
る、あるいは会う方が話は早くなる。そんな経験則から生まれた。
 けれど、これはことインターネット・マーケティングだけではな
く、インターネットとの付き合い方の技術として普遍的だと思う。

 eメールは、直接顔を合わせなくてもメッセージを伝えることが
できる。だから、遠隔地にいる場合や、電話するのに時間がはばか
られる場合などは、とても重宝する。外国にいてもまるでそばにい
るように、距離感をぐっと縮めてくれる。それはこの上なくよいと
ころだ。
 しかし逆に、顔を合わせなくてもメッセージできるので、言いに
くいことをeメールに託す誘惑も起きやすい。でもそれは、ポジテ
ィブな事柄ならいざ知らずネガティブな事柄なら、負けてはいけな
い誘惑なのだ。たとえば、叱責、批判などはeメールに向いていな
い。それは面と向かってすべきことだ。会う前提がなければ、少な
くとも会う覚悟、覚悟と言わないまでも心づもりがなければしては
いけない。

 インターネットは、身体性の欠如を代償に、関係の発生や対話の
促進、取引の実現に、それまでにない力を発揮してくれる。ぼくた
ちはその良さを、現実の世界を生かすように、台無しにしないよう
に取り扱っていきたい。こうしたインターネットとの付き合い方は、
生活技術としてぼくたちが身につけていくより仕方がない。

 生活思想としてのデジタル・イン、アナログ・アウトは、デジタ
ルとアナログを等価と見なさない。デジタルとアナログは等しい価
値ではなく、デジタルよりアナログに重きを置く。たとえば、デジ
タルとアナログが矛盾したときは、アナログを採る、と主張するの
だ。

(超自然哲学40 「7.インターネット時代の生活技術」)


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コメント

いつもこのブログを愛読させて頂いておりす。ありがとうございます,,,もう少し私みたいな低脳な者に理解できるように書いて頂けないでしょうか、、(文章が高度すぎて)、、すみません!!!

投稿: 愛読者 | 2007/03/11 23:34

読んでいただいてありがとうございます。

このところブログっぽくない文章でごめんなさい。
がんばりますので、これからもよろしくお願いします。

投稿: 喜山 | 2007/03/11 23:43

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