« 新 「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」は優遊幻想曲 | トップページ | 『ザ・ビートルズ1』から『LOVE』へ »

2007/03/05

『LOVE』の入口と出口

 ビートルズの新作『LOVE』は、どこから入り、どこへ抜けて
行けばいいだろう。この作品のモチーフが顔を出す入口と、これを
こそ言いたかったと伝える出口と。

 それはアルバム構成の自然な流れからいえば、入口は冒頭の曲
「ビコーズ」で、楽器音を排したビートルズのコーラスのみの編集
に、これから始まる「聞いたことがある」と「聞いたことがない」
が同在したビートルズ鑑賞の期待に捉えられる。
 そして出口は、最後の曲「愛こそはすべて」で、アルバムタイト
ルのテーマ「LOVE」が反復され、終わりのコーラスでは、ジョ
ンの「シー・ラブズ・ユー」の他の曲も放り込まれた新しい響きを
聞いて終えるだろう。「ビコーズ」から入り「愛こそはすべて」を
出れば、ビートルズ、編集ことはじめの旅を堪能できる。

 また別の入口と出口もある。
 このアルバムは、ビートルズの曲のなかでも、ジョンが得意とし
た幻想的なバラードを、全体のトーンとしてもそれぞれの曲として
もイメージ・コンセプトに持っているのだけれど、そう捉えればジ
ョン・レノンの幻想的なバラードの真骨頂である「ストロベリー・
フィールズ・フォーエヴァー」の物語として聞くこともできる。つ
まり、『LOVE』の入口は、アルバムの外に、1967年の曲
「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」にある。そうやっ
て聞けば、自ずと出口は今回の新「ストロベリー・フィールズ・フ
ォーエヴァー」になる。ジョンの試行錯誤の続きとして受け止める
のだ。

 でも、『LOVE』をビートルズから切り離して、今回の編集者
であるプロデューサー、ジャイルズ・マーティンの作品として見る
のが最も自然かもしれない。
 すると、この作品の入口は出口と一致していると思える。
 それは、東洋風音楽とサイケデリックを合体させた「トゥモロー・
ネヴァー・ノウズ/ウィズイン・ユー、ウィズアウト・ユー」だ。
成り立ちからいっても、ジャイルズはアルバム制作に取り組むに当
って、この誰も思いつきもしなかった二曲合体のアイデアに着手し
て、ビートルズのメンバーから信頼を得ている。
 アルバム『LOVE』は、ジョンとジョージの共作とも言える
「トゥモロー・ネヴァー・ノウズ/ウィズイン・ユー、ウィズアウ
ト・ユー」を入口と出口の核心に持っている。思い浮かべようとす
れば、ジョンとジョージのびっくりした顔だって浮かんでくる。

(超自然哲学34 「6.『LOVE』はビートルズを編みかえる」)


|

« 新 「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」は優遊幻想曲 | トップページ | 『ザ・ビートルズ1』から『LOVE』へ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『LOVE』の入口と出口:

« 新 「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」は優遊幻想曲 | トップページ | 『ザ・ビートルズ1』から『LOVE』へ »