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2007/02/15

メールマガジンとブログ

 発信する消費者は、どのように発信力を高めてきただろうか。それ
を追うのに、メールマガジンからブログへ、という流れで捉えてみる。
 もちろん、インターネット初期からこれまでに、自作のウェブサイ
ト(ホームページ)をつくる人はいた。いたけれど、それは新しいこ
とにチャンレジするのが好きな先鋭的な層に限られていた。やろうと
思えば取り組めてしかも継続できたことでいえば、メールマガジンだ。

 メールマガジンは、「こんにちは」の挨拶から始まる発信に先鞭を
つけたものだ。企業は、この消費者の行いに倣うように、消費者との
コミュニケーションのルールを見出していったのだ。
 メールマガジンは無料の電子出版と謳われて、消費者に歓迎された。
メールマガジンの発行者は、無料で出版できる装置を使って、数は限
定的でも読者を得る喜びを手にしたのである。これは、読書が衰退し
ているという風評を他所に、本を読む楽しみを読者三百人圏のなかで
回復する動きなのかもしれなかった。発行者は、読者数と、たまにや
ってくる読者の感想文に糧を得ながら、自分の表現を公表することを
覚えたのである。

 一方のブログは、メールマガジンからブログへと成長したのではな
かった。それはむしろ、従来の個人のウェブサイト(ホームページ)
の主流だったウェブ日記の延長線に位置している。つまり、自分の日
記をインターネット上に公開することが、ぼくたちのインターネット
表現の初期型だったのである。そして、分身を使って自分の日常を披
瀝する発信欲求は、開設と更新のハードルが従来より格段に低くなっ
たブログの登場を待って多くの人の欲求となり、ブログは爆発的な増
殖を開始したのである。

 またブログは、メールマガジンにはできない画像を表示することが
でき、インターネットの検索性にも優れているから、発信手段として
も評価され、メールマガジンからブログへ乗り換える人も出てきた。
ブログが登場した当初、新聞などでは、メールマガジンを書く技術が
あれば開設できる簡易ホームページと説明されていたけれど、その通
りで、ブログの記事を書く技術は、メールマガジンとほぼ同じだった
のだ。

 メールマガジンの発行者と読者とのつながりが、感想文を介するの
に対して、ブログの場合は、コメントとトラックバックという二つの
手段がある。
 ブログを見ていると、コメントは友人や知人が訪れて、「こんにち
は、読んだよ」という挨拶が基本になったコミュニケーションが主に
交わされている。これに対して、トラックバックは、記事だけのつな
がりも生んでいるようにみえる。つまり、記事を書いた人のことを何
も知らなくても、記事同士に関連があるとみなすと、そこに逆リンク
であるトラックバックを張るのだ。これは、孤立した者同士を結びつ
けたいというインターネット自体の欲求を代弁しているようも見える。

 コメントは、人コミュニケーションであり、トラックバックは記事
コミュニケーションなのだ。そして、新しさからいえば、トラックバ
ックが記事同士のコミュニケーションを生んでいることで、お互いの
パーソナリティに依らない、関心の共通性でつながるコミュニケーシ
ョンの広がりを生んでいる。

 消費者同士の関係でいえば、二つの、未知の既知化を生んでいる。
 ひとつは、既知の人だけれど、風の便りでしか知る術が無かった人
や、消息を知っていても日常までは知らない人と、突然、インターネ
ットを介してつながることだ。こうして旧知の人に出会うと、日記主
体のブログなら、知らなかった日常の一端を垣間見ることになる。既
知の人の、未知の部分が既知化されるのだ。
 もうひとつは、トラックバックの記事コミュニケーションがその触
手のひとつになっているように、関心の共通性で得られる新しい出会
いである。自分以外に同じことに関心を持っている人がこの世にいる
という出会いの驚きを生んでいる。この場合は、未知の人の既知化で
ある。
 これら二つは、ぼくたちがインターネットに分身を持ってそれを介
してコミュニケーションすることで生まれた新しい出会いである。

(超自然哲学16 「3.インターネットの新・相互扶助」)

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