ユナヌ vs ユリヌ vs ユウヌ
与論島の自称であるユンヌの語源について、
ユナヌ、ユリヌ、ユウヌの三つを仮説します。
■ユナヌ
ユナヌは、ユナ・ヌに分解して考えます。
ユナは、「砂浜」。
与那、与那覇、与根と同系列と見なします。
また「ユナ」は、もともとアイヌ語のウナ(灰)から
転じたものとされています。
「ヌ」も、アイヌ語に語源に求めて、
「~を持つ」の意味を解します。
つまり、ユナヌは、「砂浜を持つ地」となります。
ユナヌは、音韻の変化を経て、ユンヌへ転化したと考えます。
■ユリヌ
ユリヌは、ユリ・ヌに分解して考えます。
ユリは、本土にある土地のユラ系と同様で、
「水の動揺で平らにされた岸の平地」(柳田国男)のことです。
「ヌ」は、ユナヌと同様に解すれば、
ユリヌは、
「水の動揺で平らにされた岸の平地を持つ地」となります。
■ユウヌ
ユウヌも、ユウ・ヌに分解して考えます。
ユウは、本土にあるユイと同様で、
共同で漁を行う「ゆいが浜形態」(谷川健一)のことです。
「ヌ」は、これもユナヌと同様に解すれば、
ユウヌは、
「共同の漁を行う場(礁湖)を持つ地」となります。
♪ ♪ ♪
ユナヌ説の場合、
「砂浜」との関連がつけられる安定感があります。
ただし、ユナヌは直接ヨロンにつながる言葉ではないので、
ユナヌ説の場合、ヨロンは、ユンヌとは別に、
ユンヌの五感とのゆるいつながりを保ちながら、
別の言葉をかぶせたものと解します。
これは現在の地名の変遷の例を考えれば
不思議なことではありません。
ユリヌ説の場合、
語源は与論島自体より、百合が浜の語源の方がふさわしく
みえるのにひっかかりが残ります。
ただ、ユリヌ説の場合は、ユンヌとヨロンを
同一の語源からの派生形態として
捉えられる可能性があります。
ユンヌは、「リ」がn音に縮退したもので、
ヨロンは、「ヌ」がn音に縮退して生まれたと想定できるからです。
ユウヌ説の場合、
与論島の初期居住者にとって礁湖での漁が
重要な意味を持ったことを言い当てられる魅力があります。
他にも、近世中国の書物に与論島のことが、
「夜奴(ユウヌ)」の名で登場することに
関連がつけやすくなります。
ただ、労働形態を地名に当てるのが、
地名の由来としては古形にならないのが弱点です。
この場合、ユンヌはユウヌの「ウ」が、
n音に縮退したと見なします。
♪ ♪ ♪
三つの仮説は、どれも欠かしたくないと思うほど、
三者三様に魅力的ですが、
この中から強いてあげるとしたら、ぼくの考えは、
「砂浜」に由来を持つ「ユナヌ」に説得力を感じています。
地名の由来として、最も自然な無理のない印象を受けるからです。
もっと根拠を深めなければならない素人考えですが、
現時点で、与論島の語源として提出する仮説です。
「ユンヌ」の語源は、「砂浜を持つ地」と考えます。
※(この記事は、「『ゆんぬ』語源考2」の考察
を少し進めたものです)
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