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2006/12/10

シニグの由来はイュウガマの豊漁祈願!?

シニグ祭の由来はイュウガマの豊漁祈願と感謝祭
というびっくりする仮説があったのでご紹介します。

谷川健一の『南島文学発生論』(1991年)です。

沖縄本島の伊計、宮城、浜比嘉の島々では、
旧の六月二十八日と旧八月二十八日の二回、シヌグ祭をする。
そして、旧の六月二十八日は、
これらの島々にスクが寄ってくる日にあたっている。

スクは与論島では、イュウガマ。
そうそう、
『ドゥダンミン2』でも印象的なエッセイで出てきます。

  旧暦六月の大潮になると、イュウガマが寄ってくる
 のではないかと血が騒ぐ。
  男たちは、夜明け前にそれぞれの浜に集まり、西に
 寄るだろうか東に寄るだろうかと思案する。誰にも分
 かるはずはない。親方の判断に任せて出発する。偵察
 に海岸沿いの岩陰、ハンバラ(岩)の根っこを見て回
 る。イュウガマはピンク色をして群れを作っている。
 群れは大きなものもあれば小さなものもある。年によ
 ってたくさん寄る年と少ない年とある。大きな群れは
 舟の上や岩の上から赤黒く見える。岩の上から見て回
 る人もいる。大きな群れは「クムヌクーリ(雲の群れ)」
 という表現をする。大きな群れを見つけたら、胸がダ
 トゥ、ダトゥ高鳴る。

この漁のわくわくするエッセイは、
シニグの由来とする仮説に出会って、
もうひとつのわくわくが重なってくるようです。

  イュウガマは年に一度の海の恵みである。ウシャギ
 ムヌ、という。海に足を踏み入れるときに男たちは
 「チッ、トートゥガナシ、ウシャギムヌシャギラチタ
 バーリ(海の神様、海の幸を賜りください、お願い奉
 ります)」と祈る。昔は浜にいるみんなに分け与えら
 れたという。塩漬けにしてパントウ(素焼きの大きな
 瓶)に入れて一年間のタンパク源にした。芋と食べる
 と非常においしかった。豊漁、不漁は勿論であったが、
 現在よりは遥かに豊かであった。

竹下先生のエッセイからも、
イュウガマ漁は何か特別な恵みのにおいが漂ってきます。

 μ μ μ

谷川健一の考察はこうです。

シヌグの当日には木の枝やつる草を身に巻きつけた男たちが、
三箇所に分かれて山登りをし、山頂で円陣を組み、
太鼓に合わせてひとめぐりし、
「スクナレースクスク」といいながら、
棒で地面をたたく。これを三度、繰り返す。

「スクナレー」を谷川は、スクがたくさん寄ってきてほしい
という祈願の言葉と理解しています。

そこで、シヌグはスクの寄ってくるのを
待ち受けた人たちの予祝祭であり感謝祭でもある、
としているのです。

よくテーマになる語源については、
「しのくる」(踊る)というおもろ語と
関係があるのではないかとしています。
シヌグ祭での放埓な踊りをこの仮説の背景に
敷いているようです。

シヌグを、「稲」や「凌ぐ」に結びつける仮説しか
見たことはないので、「踊り」との関係づけによる
シヌグ理解はびっくりします。

 μ μ μ

また、安田ではウンジャミを「シヌグ小(グァ)」、
つまり小シヌグと呼んでいる。
そしてシヌグとウンジャミは隔年に行われている。
それは両者がもともと一体であったことを示している。

このあたりの考察は、これまでにも見られたもので、
起源同一は可能性のあるものと受け取ることができます。

谷川は、シヌグは男性社会の祭りで
ウンジャミは女性社会の祭りとする、
これもよく見る考察について述べています。

  しかし私から見ればそのような二元的な対立の図式を
 はじめから想定する必要はないのであって、スクをとる
 ときの男性の漁撈とスクの到来を祈願する神役とが一体
 となって作り上げた祭りがまずあった。それがシヌグと
 ウンジャミの二つの祭りに分化したと考えればよいので
 ある。(『南島文学発生論』1991年、思潮社)

ぼくは漠然と、シヌグとウンジャミが起源同一であれば、
女系的なウンジャミが古形だろうと思ってきましたが、
スクを媒介にすると、どちらがと考える必要もないのかもしれません。

これはとても刺激的で面白い考察です。
恥ずかしいことに『南島文学発生論』を持っていながら、
いままでこの考察に気づいていませんでした。

でもひょっとしたら、
この気づきはドゥダンミン効果かもしれません。

『ドゥダンミン2』の、
イュウガマの印象的なエッセイが心に残り、
それでやっと気づくことができたのかもしれません。

与論島のシニグ祭、ウンジャミ祭について、
考える手がかりをまたひとつ持ちました。

ぼくは現在、この仮説の妥当性を判断する
知見を持っていませんが、
びっくりしたのでメモしておきます。

『南島文学発生論』
谷川健一

Nantou_1

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コメント

喜山さん おはようございます。
いつも、新しい発想の提供感謝して読んでいます。
産業祭の宮崎さん(奄美パーク園長)の公演は私にとっては期待はずれでした。
坪山さんの奄美の歌声には感動しました。
受付に陽子(フゥジャンカの娘さん)さんがいたので喜山さんのことはなしました。いい娘ですね。
 ウンジャン祭り(茶泊り)のことが気になって起きてきたところ
このウンジャミの話にであいました。
最近ハキビナの海岸をうろついていて気になっているのが
祭りどころの「茶泊り」の場所です。
 与論でのウンジャン祭りについての研究が待たれます。
ご協力おねがいします。

投稿: 泡 盛窪 | 2006/12/11 01:41

盛窪さん、こんにちは。

坪山さんの歌が聞けたんですね。うらやましい。

をぅじゃの娘さんは太陽の子みたいにいい娘です。

与論のウンジャン祭、私も関心があります。
いろいろ考えてみたいです。

投稿: 喜山 | 2006/12/11 22:16

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