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2006/11/14

サークラ語源考

シニグ祭の「サークラ」という言葉について、
「酒倉」を語源とする仮説がありますが、
これが腑に落ちないんです。

この解釈の場合、「サカクラ」から「サークラ」への
音の変化で説明されるのですが、
これは順番が逆だと思います。

この説明だと「酒倉」(サカクラ)を元にして、
与論言葉(サークラ)に変化したと考えるわけですが、
言葉の歴史はそうではなく、
琉球語を日本祖語として、
その上に現代日本語がかぶさったのが順番ですから、
「サカクラ」と「サークラ」では、
「サークラ」の方が古い言葉だと見るのが妥当です。

それに、直感的に言っても、
核となる場所を「酒倉」とするのは
与論島の開発祖神からネーミングしている祭儀に
似つかわしくありません。

「酒倉」が語源ではないと思うのです。


「座倉」とする仮説もあります。
シニグの座元をつとめる人をザームトゥ、ダームトゥと
呼ぶのに依拠したもので、
「ザークラ」に直接の語源を求めています。
これは、「酒倉」より信憑性を感じます。

 ♪ ♪ ♪ 

「サークラ」は、「ザークラ」とも「ダークラ」とも
言われているそうで、それぞれの語源も
どの言葉かに依拠しています。

「サークラ」「ザークラ」「ダークラ」の特徴は、
面白いことに地区毎に呼び名が違うということです。
三つの呼び名が同居しているのです。

ただ、ひとつの言葉が閉鎖的な集落に分岐することで、
音を変化させていったとみなせば、
それぞれに新旧の順をつけることはできるはずです。

ここで、清音と濁音の場合は、
濁音が古いという考え方をとると、
サークラよりザークラ、ダークラが古いと思えます。
さらに、ダークラは麦屋の言葉、
ザークラは城(グスク)の言葉ですが、
集落としては麦屋の方が古いですから、
いちばん古いのは「ダークラ」ではないでしょうか。

サークラ < ザークラ < ダークラ。

という新旧です。

ここでもうひとつ。
「どぅなん」は「ゆなん」と同義という
与那国島に対する理解と同じように、
d音とy音を交換可能とみなすと、
「ダークラ」は「ヤークラ」と同義になります。

与論言葉で、「ヤー」と言えば「家」。
ここで、「家倉」という字を当てようとは思いません。
「家-座」のような語義として、
「ヤークラ」というネーミングはありえるのではないかと
仮説してみます。


もっとも、ダークラをヤークラとする仮説も、
今のところ、
もっともらしいという以上の説得力はないでしょう。

もっともっと調べなければなりませんが、
サークラを「酒倉」解釈で止めるのは、
与論島理解としてもったいない気がするのです。

もっと、底は深いぞと言いたくなります。

Photo_11

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コメント

ユンヌ言葉の語源の「サアクラ」考に感銘・・・
与論に住んでいる自称「ユンヌンチュ」の方々は、
思いつきもしないでしょう
どうでもいいと思っていらっしゃるのかな

 「ダアクラ」が語源であるというご指摘は、論理的
にもその通りだと・・・同感です

 与論町誌は、「シニグ祭」が行われる祭場は「サア
クラ」で、城は「ザアクラ」、麦屋は「ダアクラ」と
発音するが「ザアクラ、ダアクラの発音形はサアクラ
からの変化形であり、サアがザアに変化しザアがさら
にダアに変化したとみられるから、麦屋のダアが最も
変化しすぎている」と記している

 「サアクラ」は、サカクラ(酒倉)に語源を求める
ことができる・・・(中略)・・・固有の日本古代語
に、座る(座す)の意味を表すザアとかダアという語
は存在しない。」などのいくつかの根拠(?)を述べ
て「サアクラ」が正しいと云っている。

 日本語は、馬にのせて送る荷物のことを「駄(だ)
と云い、駄賃、無駄などと使用している。
「駄」は、三斗五升入りの樽の二樽を意味する。
「駄倉」、つまり「ダアクラ」は酒倉のことである。

 島言葉では、酒宴、酒盛りの場を、「ダア」、「ダ
アーの場」と云う

 どこかの家で酒を飲む集まりがある時、「しゅうぬ
だーや いだが?(ぬが?)と云う。
 今日の集まり(酒盛り)は、どこでですか?(何です
か?)という意味である。

 「高倉」はタアクラで、「誰の倉?」もタアクラ?
である

 昔かユンヌの島に樽があったならば、「誰の樽?」
は「タアータルが?」、「タルタルが?」である

 温故知新ですよね

 


投稿: サッちゃん | 2006/11/15 03:01

たるたるを知るものは幸いなり。
サッチャンの説もおもしろい。
発音的には私はサークラが好きである。
サーとは白をさす言葉でもある。
サーシとは白石。
お神酒は白い酒。
スーマシとは白いお米で作られた神へのお供えもの。
サーとは平たいとの意味もあるのでは。平たい倉のことを
サークラ(平たい倉)
 平たい倉を作ってそこで寄り合いをした場所のことを指しているとの事など考えています。
 もちろん倉のある屋敷でのこと。
4隅に棒を立て、神聖な場所として白い布を張りサークラを作った
 私はあまり深くは考えない遊びをしている。
この手の遊び好きですので、又よろしくお願いします。    

投稿: 泡 盛窪 | 2006/11/15 06:05

サッちゃんさん、コメントありがとうございます。
唸りました。
ダアクラ=酒倉ととても素直に受け取ることができました。
私は島言葉を熟知しているわけではないので、
「しゅーぬだーや」など、とても嬉しい収穫です。
他にも疑問に思う言葉の由来などありますので、
また教えてください。本当にありがとうございます。

それにしても、「タルタルが?」。面白い!

投稿: 喜山 | 2006/11/15 19:07

盛窪さん、コメントありがとうございます。
音は「サークラ」がきれいですね。スマートに響きますし。

今はそういう風になっているのかもしれませんが、
私は、与論の、与論による与論のための歴史が要ると思ってきました。
与論の人のために語る与論の歴史です。
それに近づけたらと思います。
これからもぜひ教えてください。

投稿: 喜山 | 2006/11/15 19:10

 「たるが?」を詰問調に云うと、「(そんなこと云ったり、するのは)誰なんだ!?」となりますよね

「たるたるが?」も「誰(と)誰だ!?」となってしまうのが、詮索好きな狭い島ゆえの云い方、意味の言葉になると怖いです
 
 でも、いいことも、わるいこともすぐ伝わるのが「いんくさる(小さな、狭い)島」の宿命だと思わざるをえないのでしょう

 因みに、「いんくさ(小さい)」の語源は、まさに狭く息苦しさが故からの「いにくさ(居難さ)」だと思っています


 ユンヌ言葉を使っていた先達に畏敬の念を抱いています
「たるたるが?」からの派生で、ついひと言でした

投稿: サッちゃん | 2006/11/17 01:17

サッちゃんさん、コメントありがとうございます。

「いにくさやあしが」と、民謡にも歌われていますね。
「いにくさ(居難さ)」の理解は、肌身に迫るリアリティがあります。

与論島には何もない、と時に言われます。
何もないのがいいのだ、とも。
でも、与論言葉の世界は豊かですね。
この言葉の中に、何千年ことによると、
何万年の時間を感じることができるのではないかと思えます。

投稿: 喜山 | 2006/11/17 17:39

ユンヌ言葉と民謡には身震いするほどの感動を覚えます
万円代の辞典があるとか・・・理解できません

 町立図書館に山田実さんの分厚い辞典がありますよね
あの本を紐解けば、与論の言葉の気品と雅さに圧倒されます

 紛れもない日本祖語だと確信しています
話し言葉だけで伝承されてきたことを思うと、奇跡です

 与論町誌に、親先祖は無学文盲であったのに子孫に残して
くれた・・・などと褒めてか貶してなのかわけの分からない
表現があります

 与論の言葉の会話についてたずねても、返事が返ってこな
いことがあります

 「うり、うり、うりよ、うりちょう!」八百屋さんが瓜を
売り歩いているのかと勘違いしそうです

 「そう、そう、それ、そのことなのよ!」その意味は分か
って使いながら、なぜそう云うのか説明する方を知りません

 奥の深さに、先祖への畏敬の念がますばかりです
「与論の人のために語る歴史」をと云う程ではありませんが
私自身が知りたくて、先祖の言葉に学んでいます

投稿: サッちゃん | 2006/11/17 23:14

サッちゃんさん、コメントありがとうございます。

ガンガンガンドォ。
と続けたくなります。(^^)

山田さんの分厚い辞典はまだ拝見していませんが、
「とうとぅがなし」のことも考えてみました。

投稿: 喜山 | 2006/11/18 17:59

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