ヲナリ神がなし
正確には「をぅないがみがなし」と聞いたことがあります。
「ヲナリ神」は、兄弟姉妹のなかで、
兄弟から姉妹を指して言う呼称です。
それに「かなし」という美称がついていました。
父のことを気遣った叔母(父の妹)のことを、
母が「をぅないがみがなし」と言ったのでした。
守護神のような、そんな響きでした。
伊波普献が、「をなり神の島」と南島を呼んだように、
「ヲナリ神」は琉球弧にひろく保存された呼び名です。
古代感覚を呼び覚ますこんな呼称を耳にして、
わくわくしながら聞いたのでした。
その言葉に、超高層ビルが林のようにそびえる現在から、
ガジマルが群生する古代までの時間を行き来するような
不思議な感覚を味わうのです。
「をぅないがみがなし」と言う、
あの呼び声のなかに、
本人たちも意識していない豊穣な意味が宿っているのでしょう。
島ではいまもどこかで、
「をぅないがみがなし」とそう呼び合える
関係と言葉があってほしいと願います。
♪ ♪ ♪
ところで、エケリ神という言葉は生きているでしょうか。
ヲナリ神の対称で、姉妹からみた兄弟のことをそう言います。
ぼくは残念ながら耳にしたことがありません。
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