「ゆんぬ」の語源は?
ゆんぬという地名が好きです。
自分が、ゆんぬんちゅの端くれであることが
嬉しかったりします。
うろー、ゆんぬんちゅいー(お前は与論の人か)
と島のうじゃたちに聞かれて、
おーと答えるときが、
柄になく素直な瞬間です。
∽ ∽ ∽
素人ですが、「ゆんぬ」の語源に迫ってみると、
(前略)与那原の「与那」は与根と同じく
砂浜近い土地あるいは砂地に結び付く言葉
であろう。<ユナ><ユニ>は砂の白さと
「米(ユニ)」とを結び付ける人々の想像
力のなせるものかもしれぬ。
「南島の地名」(比嘉政夫)
ぼくは与那原(ユナバル)と与論(ユンヌ)は、
同系の地名という印象をずっと持って来ました。
比嘉の考察は、「ゆんぬ」にも当てはめたい解釈です。
「砂浜近い土地あるいは砂地に結び付く言葉」というのは、
白砂の魅力的な与論にはぴったりの解釈ですね。
ただ、「ユナ」「ユニ」と米(ユニ)を
結び付けるのは、疑問が残ります。
地名は農耕時代以前に遡れると思うからです。
また吉本隆明は、
琉球語では、(aiueo)の五母音が、
(aiuiu)の三母音になることと、
琉球語と東北語の類縁性を挙げる先人の考察を引きながら、
「無声の閉鎖音への縮退の現象」を指摘しています。
そしてその例として、東北語の例で、
ユキ(雪) → ドゥチ
となる例を挙げています。
これは、「ユキ」が、三母音に引っ張られ、
無声の閉鎖音に縮退した例ですが、
ここから、ダ行音とヤ行音が交感可能である
と指摘しているのです。(『母型論』1995年、学習研究社)
これは面白い考察です。この考え方を引き取れば、
与那国は、地元の言葉で「ドゥナン」と言いますが、
これが、「ユナン」と同義であると解することができます。
与論 ユンヌ
与那原 ユナバル
与那国 ドゥナン
これらは「ユナ」の同系列に属する地名と仮説できそうです。
∽ ∽ ∽
ところで柳田國男の「地名の研究」を見ると、
表音 ユラ・ユリ・メラ・カツラ
(由良・由利・女良・桂)
意味 水の動揺で平らにされた岸の平地
こんな記述があります。
「水の動揺で平らにされた岸の平地」は、
「ユナ」系にも当てはまるか近い気がします。
「ユナ」系と「ユラ」系は、
同系か異系かは、ぼくには今のところ、
判断することができません。
でも、少しでも「ゆんぬ」の実像に近づけると思うと、
心もあったかくなろうというものです。
ゆんぬ。
そういえば、寄せてくるような語感もいいですね。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント