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2006/10/16

与論行きのスローボート

波のまにまに漂いながら、
桟橋に親戚のおじさんおばさんや同級生たちが
こちらを向いて立っていました。

きっと左手にはテープも握っていたでしょう。
右手は振っていたでしょう。

みんなは大きく浮いたり沈んだりしながら、
だんだん小さくなっていきました。

小さな与論島よりもっともっと小さい、
文字通り木の葉のようなはしけに揺られて、
ぼくは大きな船に乗り込むのです。
鹿児島に行くのです。
父の転勤なのです。

1975年3月。
賑やかな島の夏の前の話。

 ~ ~ ~

あれからぼくは、
どうして島を離れなければならなかったのだろう。
どうすれば再びあの桟橋にたどり着くことができるだろう。
そのことばかり思ってきました。

そこでぼくは与論行きのつもりのスローボートを拵えて、 
島へたどり着くこうと画策したわけです。

いま、その与論行きのスローボートは、
どこかの洋上を漂ったまま、
まだあの桟橋にたどり着くには道半ばです。

ぼくは方向音痴だから、
まず、針路を南に取ること。
これを間違ってはいけません。

いまは舵取りの訓練中。

そして疲れたら空を見上げて眠るのです。
いつか、ボートがコツンと桟橋の端に触れた音で
目を覚ますのを夢みて。

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