浪漫派、与論島
言葉で追いつきたくても、追いつけない
与論島のクオリアはいつもそうだ。
高度9000メートルから眺めてもそれは変わらない。
島のたたずまいそのものがミラクルに思えてくる。
そこには、海に浮かぶ島があるというだけではない。
それなら、その間に挟まれたあのコバルトグリーンは、
あれは何だろう?
陸と海の緩衝地帯!
そう、たしかにグリーンの緩衝地帯のおかげで
島に届く波は穏かに表情を変えてくれる。
でも物理では片づけられないモノだってある。
グリーンは、島の新緑と海の青を
これ以上にない美でつなぐ。
もっと近づけば、グリーンは、
砂浜の白を経て陸へつらなる。
島の新緑の森は、
コバルトグリーンの色を支える珊瑚の森と響きあう。
珊瑚の森は、見ようと思えば、
リーフの外の濃い青とも響き合う。
そして、ふいに島の森の緑が
薄くなっているのにも気づくだろう。
けれど、その危機感があっても、
島のたたずまいは圧倒的な力で
惹きつけるのを止めない。
与論島は、ニヒリスト(虚無派)では断じてなく、
来し方に思いを馳せるセンチメンタリスト(感傷派)でもなく、
憧れずにいられないロマンチスト(浪漫派)なのだ。
与論島を訪れる人は多い。
旅人は、そこに癒されに来る。
そしてきっと、
夢見る力、憧れる力が小さく蘇るのを感じるのだ。
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