隔てるものとつなぐもの
プリシア沖にテトラポッドが浮いていました。
そこで左右の海の色は少し変わっているように見えて、
まるでテトラポッドが海を別っているかのようでした。
隔てるものとつなぐもの。
隔てるものとつなぐもの。
この言葉は、ジョン・レノンの作品を思い出させます。
『Walls And Bridges』。
邦題は『心の壁、愛の橋』と、
情緒が加えられていましたが、
それが的外れでない注釈をたしかジョンも加えていました。
『Walls And Bridges』は、
隔てるものとつなぐものの意味である、と。
ぼくはそれを、
いままで輪郭を保つように隔てていたものが低くなり、
向こうから水が流れ込むように、
向こうとこちらをつないでしまったことを
表現した作品と捉えました。
そして隔てることで保っていたもの、
それはジョン自身の自己でした。
このテトラポッドにも、それと似た感触を受けます。
それは左右の海を別つように見えるかもしれない。
けれど、海の水位が上がれば、たちまちテトラポッドは水没して、
右と左をの境を消してしまうだろう。
隔てるように見えるものは、
いつでも隔てるものではなく、
つなぐものによって、
いつでもその境界を消すだろう、と。
それが与論島だと、ぼくは思います。
ぼくは与論の力を、境界を消す力と考えているのです。
その力を試すように、
ではなく、
その力を教えるように、
テトラポッドが横たわっていました。
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