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2005/11/19

わーなさき

滞在日が尽きて空港に向う時間になると、
ぱーぱーはそそくさと押入れに向かい、
のし袋を取り出すと、

「わーなさき」と言って渡してくれるのでした。

その中身にお札が入っているのを知りながら、いい年をして、
「とおとぅ、ぱーぱー」と頭を下げて受け取るのでした。
素直に受け取っていい雰囲気をぱーぱーはいつもで醸し出していました。


「わーなさき」は、「私の情け」。


「わーなさき」というのは、
ぱーぱーからもっとも頻繁にもらった言葉のひとつです。

遠慮するそぶりを見せると、
「ぬが、わーなさきでーる」(どうしたの、私の情けじゃないか)
と、遠慮自体を不本意そうに見せるのでした。

これは、ぱーぱーの愛情のなせる技だったでしょう。
でも、もっと敷衍すれば、与論の相互扶助を媒介する
最も純粋な言葉なのかもしれません。

「わーなさき」と言って、
ぼくは誰かに何かを渡してあげることができるでしょうか。
そうできるようになりたいものです。

与論島では、今日もどこかで誰かが誰かに
「わーなさき」と言っているのでしょう。

以前のような純粋で貧しい村落共同体ではなくなっても、
この言葉は適切に使えば、
ある時ある場面人と人をつなぐ輝きをみせるはずです。

それがある限り、与論は健在なのではないでしょうか。

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