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2005/05/05

ぱーぱーぬやー(祖母の家)

parparnuyar

ぱーぱーぬやー(祖母の家)は、脇道に入った奥の方、うっそうと木々が茂るなかに忽然と現われた。

そのたたずまいが、脇道から入った瞬間に、時間を幾重にも遡るようにあって、太古の雰囲気を醸していた。

石垣の門に榕樹(がじゅまる)がかぶさり、
守り神のように根をはっていた。

昔はこの榕樹(がじゅまる)の根のまわりでしこたま遊んだ。
夏が近くなれば、無数のがじゃん(蚊)も一緒だったけれど、
ばしばし叩きながら、根のまわりに戯れた。

榕樹(がじゅまる)の前では親父がよくキャッチボールをしてくれた。

やー(家)のまわりの石垣からは、
夜になるとこれまた無数にあまん(やどかり)がカサコソと
音を立てて現われた。

島には先祖があまん(やどかり)だと言う民話も残っているが、
それがとてもリアルに感じられたのだ。

やー(家)では、やどぅまーぶい(ヤモリ)が
チーチーと泣き声を挙げていた。
それを聞くと、ぼくは帰ってきた実感がやってくるのだった。

柱には文字通り、柱の傷が残っており、
21世紀になってもトイレは汲み取り式で、
台所は、足を踏み入れると、食器棚が昔も今もガタガタ震えていた。

そして何より、そこにはぱーぱー(祖母)と過ごした匂いがあった。

この写真は去年の夏、7時半に、
南の島の遅い朝に写した。
まだ朝陽の届ききっていない弱い光の中にある。

そのとき、よもやこの、ぱーぱーぬやー(祖母の家)を見るのが
最期になるとは思ってもみなかった。

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