2006年8月 8日 (火)

Googleブック検索の意義

昨日、「Googleブック検索」の説明を聞く機会がありました。

体感的には、

・Googleで検索したときに、本のコンテンツも結果にあがってくる。
・本のコンテンツと言っても、書籍そのものではなく、本の中で、
 検索したキーワードに該当する個所のページがヒットする。
・クリックすると、ヒットした個所の前後2ページを読むことができる。

となるようです。

いままでのWebページの閲覧に、本の本文の閲覧が加わるのです。

出版社から順調に書籍が提供され、
コンテンツがデジタル化された状態を想定すると、
ぼくがいちばん嬉しいと思うのは、好きな作家の文章の中で
「あれどこに書いてあったっけな」と思い出せなくて、
一冊の中でも、いくつも書籍のなかでも探し回ることがるので、
そのストレスが解消されることです。

長いこと我慢して調べたり、諦めたりしてますから。


書籍の販売促進に寄与するのは当然だと思いますが、
コンテンツのあり方は、

 アナログに本体があり、デジタルはアナログからの抽出物である。

というのではなく、

 デジタルこそが本体であり、アナログはデジタルからの抽出物となる。

そんなイメージが思い浮かびます。

「Googleブック検索」の意義も、
その、デジタルとアナログの関係変換に感じました。
秋にサービス開始予定とのことです。


□メモ

1)出版社は、Googleに本を送付。GoogleでOCRにかけデータをアップ

2)全文が検索できる。ただし、閲覧には制限あり。
  (1)検索にヒットしたキーワードを含む前後2ページのみ。
  (2)月間で、全体の20%
  (3)5%はブロックページとして設定し閲覧不可とする。
     (ブロックページの場所はランダム設定)

3)目次、奥付きは閲覧可能

4)検索結果ページからは、アマゾンや出版社へのオンライン書店へのリンク。

5)秋からのサービス開始予定。

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2006年6月28日 (水)

eメールコミュニケーションの高齢化

今日、産能マネジメントスクール
Eコミュニケーション実践を担当してきました。

この講座、少しずつだけれど受講生が増えてきています。
ニーズが高まっていることなのでしょう。

eメールコミュニケーションがインターネットでひろく
行われるようになって10年。最初、飛びつきの早い人たちの
技術だったものが、ふつうのリテラシーとなるのに
要する時間が10年なのかもしれません。


今日は、伝えるポイントの二重化ということを感じました。

それはこういうことです。


この十年の大半、eメールコミュニケーションのリテラシーを
伝える要点は、「こんにちは、から始めていい」ということでした。

社会人として文書や手紙に慣れている人は、
「拝啓 貴社益々ご清祥のことと云々」と、
eメールを書き起こすことが多かったのです。

そこで、その挨拶文は不要です。「こんにちは」からでいいのです。
そう伝えることがポイントでした。

この様相が変わってきたのは、去年からです。
それまで、若手の社会人には、「こんにちは」からの書き起こしは
伝えやすい、受け容れてもらえやすいポイントでした。

そのことに変りはない。
というか、テーマはもっと先に行っていました。

去年の新入社員は、「よろしくお願いします★」と
eメールを結んだのです。

こんどは、「★」で結ばないようにしよう、
が、ビジネスのeメールコミュニケーション・リテラシーの
ポイントになったわけです。

「★」などの絵文字、記号は、携帯メールという「話し言葉」に
最も近いやりとりの中で、
言葉の一部のように育まれてものではないでしょうか。

eメールは、書き言葉と話し言葉のあわいにあって、
「限りなく話し言葉に近い書き言葉」と言うべきものだと思いますが、
かつて、「書き言葉」に対して、「もっと話し言葉へ」と
呼びかけてきたものが、
こんど、「話し言葉」に対して、「もっと書き言葉へ」と
呼びかけることになったのです。

さて、長くなりましたが、
今日はまた別のことを感じることになりました。


まだ若手の社会人が、「平素よりお世話に云々」と書き起こし、
年長の社会人が、「若いきみたちにいいものを紹介します」と、
元気よく書き起こしていました。

何というか、逆ではないか、という印象だったのです。


吉本隆明が、医者から聞いた話として、
高齢化社会は、高齢者が増える社会ではなくて、
若年なのに肉体年齢は老年の場合と、
老年なのに肉体年齢は若年の場合が起きる社会と
言っていたのを思い出します。

ちょうどそれと同じような、若いのに書き言葉寄り、
年長なのに話し言葉寄り、という現象です。

いままで、リテラシーのポイントは、
年長者には、「書き言葉をより話し言葉へ」、
若年者には、「話し言葉をより書き言葉へ」
とポイントは固定されていましたが、

もうそれだけではなく、どちらにも二つのことをいう、
ポイントの二重化の段階になったんだなと感じたのです。


これは、eメールコミュニケーションも、はや高齢化の
テーマを持ったということかもしれません。

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2006年4月25日 (火)

手帳ブログ、書き続けるための

Tetyoublog_1 「手帳ブログ」のススメ

大橋 悦夫

翔泳社
2006/04/20
1,449円

ブログを書きつづけるには。

こう問いを立てて、
それには、ブログを手帳として使うといいんです、
と答えているのが、
大橋さんの「『手帳ブログ』のススメ」です。

日記は3日しか続かないけどブログは続く。
ブログを書いている人からはこんな声がよく聞かれます。
それは、ブログという日記には、
読者がいて、その反応が継続の動機になるからです。

友人の消息の知り合いと共通の趣味と人との出会い。
こんな二つの未知の既知化を梃子にしたブログ縁が、
ブログの継続性を支えています。

ところで、大橋さんの「『手帳ブログ』のススメ」は、
それと違って、自分との対話でブログを続けることを
テーマにしています。

大橋さんは、ここでブログを手帳に見立てます。

 手帳はビジネスパーションにとっては古くから
 使われ続けている最も身近なビジネスツールの
 ひとつです。単に予定を管理するためだけにと
 どまらず、タスクリストや備忘録として、ある
 いは日記としてその用途は拡大し続けています。
 達成したい目標やかなえたい夢を手帳に書きつ
 けておき、折に触れて読み返すことで自身を奮
 い立たせるという使い方もあるでしょう。

そして、手帳を「第二の頭脳」と位置づけています。

だから、ブログを第二の頭脳として活用するには、
ということが、「『手帳ブログ』のススメ」のテーマです。

その中味を見ると、
ブログを手帳として活用するのは、
単にブログを手帳に見立てるというだけではなくて、
ブログに書き続けることを通じて、
行動の一部に組み込んで、
自分のスタイルを変えていくことが目指されています。

そのために、1日目、1週間、2週間、
1ヶ月、3ヶ月、半年と期間を区切って、
その時ごとの難所の指摘と、
それを乗り切るアイデアが書かれていて
自分との対話による継続術を教えてくれます。

ぼくは「『手帳ブログ』のススメ」を通じて、
「無理をしない」ことがずっとアイデアの底流に
あるのを感じました。

それは、大橋さん自身のブログ、「シゴタノ!」が、
休日を除く平日に毎日更新、と謳っているのに
よく表れています。

そんな優しい技術の手引き書、
「『手帳ブログ』のススメ」は、
ブログを通じた自己発見と自己実現を
助けてくれるようです。

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2005年12月 4日 (日)

ブログマーケティングを軽くする

blogmarketing図解 ブログ・マーケティング

四家 正紀(著)、株式会社カレン(著)

翔泳社
2005/11/22
1,680円


ブログは強力なマーケティング・ツールである、
というのがこの本の主張だ。

まず、ブログマーケティングとは何か?
本書ではそれを次のように言う。

企業が「商談」のためにブログを活用すること。

ぼくたちは、企業にとってのeメールを
電子DMではなく「電子接客」と捉えてきたので、
この考え方はとても馴染みやすい。

こう定義することで、ブログマーケティングは、
B to CにもB to Bにも道を開くことができるだろう。

では、ブログはどのようなマーケティング・ツールかといえば、
まず、ブログの既存のウェブサイトに比べた「軽さ」を説明して、
「使いやすいコミュニティエンジン」としている。

従来のネットコミュニティ運営が、
消費者の発言コントロールが困難であることが、
導入を躊躇させる理由になっていたが、
ブログは、比較的コントロールしやすいので、
「コントロールできるコミュニティ」だと言うのだ。

企業と消費者のウェブコミのなかでは、
ブログのコミュニケーションは「コミュニティ」であり、
しかも従来より、発言と運営コストのリスクが軽減されているから、
インターネット・マーケティングの流れのなかでは、
コミュニティ・マーケティングの再燃と言えるものだ。

この本は、そのことに触れてから、
ブログ・マーケティングを3つに分類している。

1.メッセージング型
2.コミュニティ型
3.ブランデッド・エンターテインメント型

社長ブログに始まり、現場の社員が個人の語り口で展開することで、
企業メッセージを顧客と同じ目線で語れるようにするのが、
メッセージング型。

消費者参加を主体とするのが、コミュニティ型。
そこには、消費者がコメント、トラックバックで参加するスタンドアロンと、
消費者がブログのライターとして参加するグループブログがある。
消費者のブログからトラックバックを集めるトラックバックセンターも
ここに分類している。

ブランデッド・エンターテインメント型は、映画、TV番組、演劇など、
エンターテイメント・コンテンツを利用して、
自社商品のブランド訴求を行なうもの。

この3つのタイプを辿ると、企業と消費者のコミュニケーションが、
いままでより、接近し密接に関わる地平にブログがあることが分かる。

そしてブログマーケティングの実践の仕方を、
7W1Hで丁寧に説明している。


本書は、ブログが「軽い」ように、
ブログマーケティングを軽くしてくれているのだ。

四家さんが、コメント、トラックバックについて、
「それほど恐れることはない」と説得しているように。

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2005年11月30日 (水)

ブログとは「会話」である

ダン・ギルモアの『ブログ 世界を変える個人メディア』は、
ブログを「会話」だと喝破している。もっと正確には、イン
ターネットが「会話」であり、個人のブログがその一部を先
端的に担っていると言っている。

wetheblogブログ 世界を変える個人メディア

ダン・ギルモア(著)、平 和博(翻訳)

朝日新聞社
2005/08/05
2,205円

ブログが「会話」だというとき、eメールのことが思い出さ
れる。9年前、eメールをマーケティングに使おうとした時、
ぼくたちは、eメールは「電子DM」ではなく「電子接客」
であると主張してきた。

DMの延長でeメールを捉えてしまったら、インターネット
の世界までDMだらけになってしまう。そうではなくeメー
ルは企業にとって接客、つまり消費者とのコミュニケーショ
ンに他なならないと考えたのだ。

ダンの本が明らかにしているのは、eメールに加えてブログ
がコミュニケーションの道具として広がったことである。e
メールもブログもコミュニケーションの道具なのだ。

         ♪   ♪   ♪

ダンは「迷惑メールの厄災は、メールによるニュースレター
をほとんど不可能にしてしまった」としてRSSによる代替
を書いている。ここはかの地のスパムメールの凄まじさを背
景にしているだろう。

ぼくたちの環境でも確かにそう言える面がある。心少ない電
子DMが増え、やがて心ない電子DM=スパムメールも大量
に届くようになっているから。

けれどもダンのニュースレターvsDM談義がいささか図式
的に過ぎると思える現実感もある。ぼくたちの環境ではメー
ルマガジンはコミュニケーションの道具として有効に機能し
ているし、RSSの使いこなしはもう少し観察が必要だ。

現段階では、RSSとメールマガジンで情報配信、eメール
でしっかりコミュニケーションと位置づけておけばいいと思
える。

とはいえ、ブログとは「会話」であるという視点から得られ
る展望はとても刺激的だ。

ダンは、「ブログは、ウェブ上で手軽に、少なくともこれま
でよりは手軽に、発信することができる初めてのツールだ」
と位置づけて、ウェブや既存のコミュニケーション道具との
区別を丁寧に説明してくれている。

たとえば、ウェブとの違いなら、「ウェブがコンテンツの倉
庫なら、ブログの世界は『会話』だ。」というように、本質
に届く鮮やかな仮説に出会うことができる。

インターネットは消費者が主役の空間だから、「手軽」に発
信できるということは何よりも大事なポイントだ。これまで、
最も手軽な発信手段はeメールだったけれど、それはウェブ
上では表現の場を持たない。ブログは、コミュニケーション
の要素を持ちながら、ウェブ上に表現の場を持つことができ
るのだ。だから、ダンはブログを「われわれのメディア」と
して、ジャーナリズムとしての意味を取り上げていくのだ。

ところで、ダンは広報やマーケティングについても触れてい
るから、その言及に触れてみよう。ダンの主張はとても刺激
的で面白い。

ダンは10の提言を挙げているのだけれど、それぞれの第一
文だけ挙げてみよう。

  1.真剣に耳を傾けよ。
  2.活動内容とその目的について、オープンに語れ。
  3.分からないことは聞け。
  4.できる限りの幅広い受け手に向けて、最も効果的な
    方法で情報を発信せよ。
  5.より多く(より少なく、ではない)の情報提供を心
    がけよ。

  6.組織の人間の公的な発言内容を投稿もしくはリンク
    せよ。
  7.あなたの組織に本気で関心をもっている人々へ、正
    確に照準を定めよ。
  8.間違いは迅速、誠実に訂正せよ。
  9.新しいことを教えてくれた人たちには感謝せよ。 
 10.常に実験を繰り返せ。

ブログが後押しして明快な主張を受け取るのだが、これだけ
では抽象的でもっともなことを言われているように見えるか
もしれない。でもたとえば、3は、以下にこのように続く。

  3.分からないことは聞け。喜んで答えてくれる人たち
    がいるはずだ。十分に耳を傾け、語った後には、次
    のステップだ。ブログのコメント受付機能をオンに
    し、顧客が直接、投稿できるようにせよ。さまざま
    な「有権者」あたちに助けを求めよ。ニュースグルー
    プを開設せよ。だが、決してそれらを検閲してはな
    らない。名誉毀損、わいせつ、全く的外れな投稿を
    削除する以外には。

これを見れば、ダンがごもっともな正論を言っているのでは
なく、かなりラディカルな主張をしているのが分かるだろう。
現在のPR目的のブログサイトは、トラックバックを受け付
け、コメントを敬して遠ざけるのが常道になっているのだ。

         ♪   ♪   ♪

ただ、ダンの主張はラディカルとはいえ、至極まっとうだ。
それは、インターネットはマスメディアと異なり、消費者が
主役の空間だ。だからダンが、「ごく少数の例外を除けば、
ネットワーク化された世界では、企業の透明度の高さがその
まま成功につながる、と私は思っている」と言うのは正鵠を
射ていると思える。

ぼくたちは、『ウェブコミ!』で、このことを「囲い込みか
ら飛び込みへ」と表現した。「飛び込みと言っても飛び込み
営業のことではありません」と親切に解説したレビューもあ
るけれどその通りで、飛び込む先は、消費者の声、もっとい
えば文脈(コンテクスト)だ。

商品が過剰で消費者自身もマーケティングを行なうようにな
っている現在、消費者を「囲い込む」のは不可能で、ベター
なアクションは消費者の文脈(コンテクスト)に寄り添うこ
とだと思える。そのためには、消費者の声に「飛び込む」の
が近道だ。

ダン・ギルモアの『ブログ 世界を変える個人メディア』は、
消費者の文脈・声に飛び込む方法について、ブログを介して
具体的に行なう方法を書いていると言ってもいい。

         ♪   ♪   ♪

ブログとは「会話」であるという命題の援用として、ダンは
いくつかの法則を挙げているけれど、そのひとつにメトカー
フ(Metcalfe)の法則がある。

「メトカーフの法則とは、通信ネットワークの価値は、ノー
ド(結節点)、すなわち接続している端末の数の二乗に比例
する」というものだ。

感覚的に言えばこうなる。ネットワークを構成するメンバー
数が10人だとすると、そのネットワークの価値は10の二
乗、つまり100に比例するということ。で、この100は、
ネットワークの10人が自分以外の9人全員と一往復ずつ声
をかけあった数にほぼ等しい。

そこで、ネットワークの価値はそのネットワークのメンバー
相互のおしゃべりの数に比例するとアナロジーすることがで
きる。そしてこうアナロジーすることで、ネットワークの価
値は、コミュニケーション量に比例するということが展望し
やすくなる。

ただ、これまでのコミュニケーション道具は、メトカーフの
法則を云々するには、掲示板にしても、eメール、メーリン
グリストにしてもコミュニケーション量(インタラクション
数)が貧困にならざるをえなかった。

ブログの登場は、そのメカトーフの法則にとっても意味を持
っている。というのもトラックバックとコメントをコミュニ
ケーションの単位と見なすと、nの2乗に対して比肩できる
数を見せ始めているからだ。

ぼくたちは、何かが始まるし始まっているという実感が湧い
て、少し胸を躍らせるのだ。

ダンは、「さあ、会話を始めよう、みんなのために」と、こ
の本のイントロダクションを結ぶ。これはウェブ日記の、公
開される自分を確認するという微妙な位相に向けて届く、ア
ジテーションになっている。

新しい何かが始まるとき、事態の本質を伝えてくれる言葉は
わくわくする。これはそんな本のひとつだ。

(cf. Dan Gillmor's blog

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2005年7月30日 (土)

「囲い込み」から「飛び込み」へ

先週の金曜日に、IMpressの西村さんの企画で
TalkLiveに参加させてもらった。

いただいたテーマは、「囲い込み」から「飛び込み」へ。

「囲い込み」というのは、従来、企業が消費者に対するときに、
重視してきた方法だ。

ところが、マス広告が思うように効かなくなり、
消費者を操作対象と見做すことが難しくなってきたのが現在だ。
「囲い込み」ができなくなっている。

そこで必要なのは、囲い込むことではなくて、
消費者の文脈(コンテクスト)に寄り添うこと、
消費者の文脈の中にいることだと思える。

そのことを、囲い込みではなく、囲い込まれる、とか、
囲われ込むとか言ってきた。

でも、その表現は物足りなかった。
何が物足りないかというと、マーケティングを行う、
企業の主体性が示せないからではないだろうか。
囲い込まれることは結果であって、
囲い込まれるために必要な行動を言う必要があるのではないか。

そう考えて、思いついたのは、「飛び込み」だった。
企業の担当者が、消費者の文脈(コンテクスト)に飛び込むのだ。
その結果、彼は消費者の文脈(コンテクスト)に
囲いこまれることができるだろう。

それは、必ずしも言葉遊びで出てきたのではなく、
先駆的な企業担当者の行動を見ていると、
まさに、飛び込んでいるからだ。

面白いのは、それがとても自然になされていること、
さらに、担当者ご自身は、「囲い込み」と言っているとしても
その行動は、もう「囲い込み」をはみ出している。
そう見えることだ。

さて、そう思いつつのトーク・ライブ。
ところが参加者のお一人からは、「企業連合」という言葉が飛び出した。
ひとつひとつの企業では力は知れているから、
企業連合で消費者を囲い込むことができるのではないか、
そう問いかけられた。

ぼくはとっさに「囲い込み」発想の根強さと受け取ってしまった。
企業連合というフレーズが、なんというか、
消費者を追い込むように聞こえたのだ。

でももう少し、耳を澄ましてみると、
たとえば、ある通販サイトでは、高島屋の広告だけではなく、
他の百貨店のものも出ていて、消費者には便利になっているのだ、と。

そうそう、と思う。それを、「飛び込み」と言うのだ、と。
一社で消費者を囲い込むことが出来なくなったから、
消費者の集う場に、企業が飛び込んでいるのだから。

「飛び込み」はまだコンセプトに過ぎないから、
具体的な事例で少しずつ埋めていく必要があるのだ、
というのが反省だ。

ともあれ、「飛び込み」という言葉を広場で議論したのは初めてのこと。
その意味で、とても貴重な経験をさせてもらった。
おかげで、「飛び込み」という言葉がどんな響きを持つのか、
知ることができたのだ。

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2005年7月22日 (金)

『ウェブコミ!』、もうすぐ発売

webcomウェブコミ!

喜山 荘一、株式会社ドゥ・ハウス
ランダムハウス講談社

2005/07/30
1,680円

ウェブサイトを拠点にしたインターネット上のコミュニケーション
は面白い特性を持っている。

それは、ウェブサイトの、サイトコンテンツやメールマガジンや
最近ではRSSから情報を発信できるというマスコミ的な側面を
持つということ。

それだけでなく、一対一のインタラクティブなコミュニケーション
をベースに置いたクチコミを促進するということ。

この両方の側面を持っていることだ。

それぞれは、マスメディアのマスコミにも、対面のクチコミにも
威力は及ばない。及ばないことを代償に、双方の機能を持っている。

いま、クチコミ、マスコミにならって、ウェブサイトの
コミュニケーションをウェブコミと呼んでみる。

y軸に空間、x軸に時間をとれば、マスコミは、空間にある値をとり、
時間を0にする。逆にクチコミは、空間を0にし時間にある値を取る。
この値を1とすれば、ウェブサイト上のコミュニケーションの座標は
こうなるだろう。

クチコミ =(0,1)
マスコミ =(1,0)
ウェブコミ=(√1/2,√1/2)≒(0.71,0.71)

ウェブコミは、クチコミとマスコミの両方の機能を持っているのだ。
インターネットの意味は、そんなコミュニケーション・チャネルを
生んだことではないだろうか。

それなら、ウェブコミにできることは何だろう。
マーケティングの視点からいえば、それは顧客を味方にすることだ
と思える。

そういう仮説のもとに、『ウェブコミ!』を書いた。

この本を素材に、新しいコミュニケーション・チャネルの可能性を
議論していければと思う。

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2005年6月16日 (木)

不満からは何も生まれない

zissenkouza実況LIVE マーケティング実践講座

須藤 実和

ダイヤモンド社
2005/06/10
1,890円

現在、マーケティングは商品過剰な市場社会に直面して、
どうすればいいか、回答を迫られている。

そこで、「ポストモダン・マーケティング」(スティーブン・
ブラウン)は、近代(モダン)以前のマーケティングのやり方、
だまし、じらし、魅惑するやり方に戻れ、といい、

「無敵のマーケティング」(ジャック トラウト)は、
皆が顧客志向なら顧客の要望を知っても役には立たない、
それよりは「差別化」だと主張している。

消費者の無意識に着目せよという「心脳マーケティング」
(ジェラルド・ザルトマン)もある。

「実況LIVE マーケティング実践講座」の須藤は
マーケティングそのものが差別化要因だと答えている。

 2000年以降、市場の細分化は進み、企業が市場に
 働きかけていかないと生き残れない時代になりました。
 だからこそマーケティングが差別化要因になってくる
 わけです。企業は自社が儲かるためには細分化された
 市場を新しい視点から見てくくり直すこと、あるいは
 それまでには存在しなかった市場を呼び起こすことも
 含めて、新しい市場を創造する必要に迫られるように
 なっています。

「顧客の潜在欲求をマーケティングの力によって掘り起こ」
すことが必要だと主張されている。

これは、ウォンツは喚起されるものになっている、
ということだ。

この本は、この環境下でマーケティングをどう
実践していけばいいか、平易に紐解いているのだけれど、
関心をそそられたのは、演習と題したケーススタディのところだ。

ここではサントリーのDAKARAの開発プロセスが
取り上げられている。

最初、市場の6割近いシェアを持つポカリスエットに対する不満点
から新しい価値提案をしようとした。

でも調べてみると、顧客はポカリスエットに満足していることが
分かってきた。

そこで、「ポカリスエットが20年間愛されている理由を
もっと掘り下げることによって、新しいスポーツドリンク
に何を期待するかというヒント」を見つけようとしたという。

このプロセスは、一ケーススタディとして語れているのだけれど、
商品開発の王道ではないかと思えた。

この、ネガティブからポジティブへの視点転換は、
事例や教訓に止めずに、手法として練り上げるといいと思う。

それが喚起するウォンツへの通路を開く方法なのではないだろうか。

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2005年6月 8日 (水)

メールにこころを

mailzyustuあなたの仕事が劇的に変わるメール術

平野 友朗

ビジネス社
2005/05/27
1,470

久米信行の『メール道』もそうだったけれど、
平野友朗の『メール術』も、メールに心を込めることを説いている。

eメールは、電子の文字が個々人の癖を反映する余地もなく
整然と並んで、無機的に見えるから、ことさら「心」がテーマに
なるのだ。

インターネットがコミュニケーション手段になって10年が経つ。
ぼくたちはそろそろインターネットがもたらした
新しいコミュニケーション手段であるeメールについて、
読み書きのルールを身につけるべき時に来ているのかもしれない。

ここには45のヒントがステップアップの順番を踏んで並んでいるので、
読みすすめながら、だんだん詳しくなっていくことができる。

・営業が終わった後のお礼のメール
・商品を発送した後の発送連絡メール
・商品到着後のメール
・予約確認のメール
・商品が切れたころを見計らっての追加注文のお誘いメール

これらはふつうフォローメールと読んでいるものだ。
発信する側は、主役のメールを送った後なので、
もう仕事は終わったと、つい怠るものだけれど、
受信する立場にたってみると、読む必然性が高いものたちだ。

だから、フォローメールはとても大切なのだ。
たとえば、平野は、このフォローメールを、
「相手に違和感を感じさせない、自然なメール」と書いている。

この説明は、営業をテーマにした文脈から離れても素直に読める。
ぼくはいい表現だなと感じたところだ。

それから、よく見かける表現に、
「返事は暇な時で構いません」というものがある。
平野はこの表現について、
「受け取った人に心理的な負担をかけてしまう」
と指摘している。

 メールを受け取った人は、「お暇な時」が来るまで、
 心のどこかでそのメールのことを気にかけていなければ
 なりません。

だから、期日はしっかり書いたほうがいい、
というのが平野のアドバイスだ。

受け取った相手がどう感じるか、その配慮を忘れないことを
平野は「こころ」と言っているのだと思う。

ところで、違う考え方にも出会った。

 開封されにくい例 ありがとうございました。
          こんにちは。
          よろしくお願いします。
          ご報告です。
          お世話になっています。
          お元気ですか?

 悪い例      当選しました。
          あなたに重要な連絡があります。
          Re:お問い合わせ

 いい例      7月9日の営業会議の報告書
          新製品発表会(6/23)のお知らせ
          第3回メルマガ会議 議事録

平野が出している例を見て、ぼくなら違う評価もありうると思った。
たとえば、いい例の件名は、具体的で中身のことが分かるので、
いいのはもちろんだけれど、文末に「です」とつけたくなってしまう。

また、開封されにくい例として挙げている「ありがとうございます」
や「お元気ですか?」は、必ずしも開封されにくいとは限らない
印象を受けた。

件名は、文中でもっとも伝えたいこと、それこそ本文の「心」を
込めるのだから、「ありがとうございます」や「お元気ですか?」は
ともにありうる件名だと思うからだ。

件名は具体的にした方がいいと、ぼくも思うけれど、
話し言葉の要素を件名に入れていいとも思っている。

言葉のキャッチボールをするときに、
件名は、最初に呼びかける言葉に近い役割も担っている
と感じられるのだ。

それはまた日常のメール・コミュニケーションで
試行錯誤していきたいテーマだ。

この本は親切な手引書として、
触れられるべきeメールコミュニケーションの心の
入口を担っている。

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2005年5月11日 (水)

ブログ感覚

buisinessblogビジネスブログのつくりかた 集客・営業・顧客サポートまでこれひとつ!

齋藤 伸也、小暮 正人
秀和システム
2005/04/09
1,365円

この本はとてもいいアドバイスをしている。
ブログを理解するには、やってみるといい、と言うのだ。

 今でこそ慣れ親しんだEメールも、どういう文章を書いたらいいのか、
 どうすれば相手に伝わるのかといったことを模索し、送信ミスなどの
 失敗を体験するうちに、私たちは適切な利用法を見つけてきました。

だから、ブログだってやってみたらいい。特にビジネスブログと称して、
ビジネス活用を考えるのであれば。

この言い方が敷居にならないくらいブログの入口はハードルが低い。
だから、これはいいアドバイスなのだと思う。

もっといいのは、その「ブログ感覚」を易しく言葉にしていることだ。

 人の手でページを作成するよりもリンク切れやリンク間違いが起こり
 にくくなっています。

 (コメントは)つながり感の向上、つまりは親近感の醸成にもなります。

 オフィシャルサイトだと書きにくい感情のこもったメッセージも、
 ブログによる別サイトという形態ならば伝えられます。

 ひとつの記事が1ページで構成されているということは、そのページ
 に何が書いてあるのかを検索エンジンが理解しやすいということです。

 ただ単に人を呼ぶのではなく、そのページに興味のある人を呼んで
 きてくれるのです。

 メールマガジンとブログの基本スタンスは同じ

 メールマガジンとブログはそれぞれ排他的なものではなく、相互補完的
 な存在であるととらえた方がいいでしょう。

 メールマガジンはボリューム感のあるじっくりと読ませるコンテンツ、
 ブログは時事の話題をテーマとした軽めのコンテンツというように
 テーマを分けて運営すると、より充実したホームページになるでしょう。

 トラックバックによる誹謗中傷も懸念されますが、コメントと違って、
 誹謗中傷を自分のブログに書く必要がるため、むやみやたらに書かれる
 こともないようです。

ブログは従来のホームページと比べてびっくりするくらい手間をかけずに
作成できる。だから更新も簡単にできる。そして、ブログは検索エンジン
にもひっかかりやすいから、アクセスも増えやすい。また、他のブログと
リンクしたり他のブログにコメントつけたりということも、簡単にできる
ので、コミュニケーションが発生しやすい。

だから、ブログを書き続けると、知らないうちに見込み客がやってくる。

インターネットは、「つながりとやりとり」の世界だが、ブログ感覚と
いうのは、この「つながり」の感覚なのだ。

それから、この本は、ブログについての知識も感覚的な理解への努力
をしている。

 ブログとは、ホームページを簡単に作成・更新できる仕組み、つまり
 ボームページの一形態だと考えていいいでしょう。

 ・更新情報を通知するためのRSS
 ・ブログ記事間をリンクでつなげるトラックバック
 ・読者からのコメントを受け取るコメント

 ブログをテンプレートの限定されたCMSとして考えれば、ホーム
 ページ全体をブログで構築することも可能です。

 トラックバックはリンクの通知機能のようなもの

新技術と見えるものを皮膚感覚で分りやすく説明することができるのは、
著者たちがブログを使いこなしているから、というのはもちろん、
それだけでなく、
ブログを知らないというビジネスマンに視点を置いているからだ。

そういう意味でこの本はとても親切だ。

こんな親切を通過してこの本を読み終えると、
自社のウェブサイトにブログを活用してみたくなる。
それがこの本の最大の効用だ。

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