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『クオリア立国論』

『クオリア立国論』
Qualia

 人間は、無意識に感じているものを他人に語ることはできません。自分自身でさえよく把握していないのですから、それを他人に説明することは基本的にはできない。自分で意識されたものについては言葉で語れるけれど、無意識のものを言葉にすることはとても難しい。クオリアというのは無意識で感じる質感です。みんながそれぞれに無意識のなかに感じている。それを心のなかから引っ張りだして、互いの質感について話をする。つまりクオリアというのは、人と人とのコミュニケーションの基盤であるという言い方もできるわけです。

 マーケティングの世界に、インサイトという言葉があります。たとえば消費者がある製品を選ぶ。多くの製品のなかから、たったひとつの商品をチョイスする。どうしてその商品を選んだのかを聞くと、明確な理由はそこにはありません。「好きだから」「何となく気に入ったから」という曖昧な答えが返ってくる。そうした消費行動に対する理由づけをすることを「インサイトを明示化する」と言うのです。たとえば数あるコンピューターのなかからアップル社のコンピューターを選ぶ。機能的には大した差がないのに、どうしてかアップルのコンピューターをチョイスする。買った本人でさえ、その理由を明確に示すことはできない。無意識で選んだものに関しては説明のしょうがない。その無意識で感じたクオリアを明確な言葉にしていく。それがマーケティングのひとつの方法論なのです。「アップル社のコンピューターは、こういう理由で選ばれているんですよ」と明示することで、さらに消費心理にいい影響を及ぼすということです。

 ここでいうインサイトは、ウォンツ(欲求)のことだと思えばいい。強いて言えば、無意識の領域の広いウォンツと言えばいいだろうか。


 この本からヒントを受け取ると、ネット上の声は、オピニオン(意見)ではなく、インプレッション(感想)の領域が増えると、生産と消費のサイクルに好循環化を生む。


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