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「顧客」から「競合」へ

muteki無敵のマーケティング 最強の戦略

ジャック トラウト(Jack Trout)
高遠 裕子(翻訳)

阪急コミュニケーションズ
2004/11
1,470円

現在のマーケティング本は、ひとつの主題をめぐって
書かれているように見える。

それは、マーケターとなった顧客に対し、
マーケティングはどのように可能なのか、というテーマだ。

顧客が、ただの消費者ではなくマーケティングを知るようになったとき、
マーケティングはどうなるべきなのか。

そこで、ある者は、「顧客の無意識を知る術を持つできだ」と言い、
ある者は、「近代マーケティング以前のマーケティング、つまり、
顧客を誘惑し、だまし、楽しませるべきだ」と言う。

そこには、途方もなく過剰になった商品社会への戸惑いをどこかに
押し隠しているかのようだ。

『無敵のマーケティング 最強の戦略』は、同じ認識に立って、
こう主張している。

  第二次世界大戦以降、顧客という王様がマーケティングの世界に
 君臨してきたのだ。
  だが、顧客という王様は死んでいることがわかってきたようだ。
 マーケティングの専門家は、経営陣に屍を売り込んでいたわけだ。
  そのおかげで、いまや、あらゆる企業が顧客志向になっている。
 十を超える他社がおなじ顧客に奉仕しているのなら、顧客の要望を
 知っても、それほど役には立たないのだが。ゼネラル・モーターズ
 が考えるべき問題は、顧客ではない。問題はフォードであり、クラ
 イスラーであり、輸入車なのだ。

「顧客」ではなく「競合」に目を向けよ、差別化するのだ、
というのが、この本の主張だ。

歯切れのいい主張は、全体を通して聞くことができるのだが、
キーワードになっているのは、全体の8章に共通する「戦略」だ。

1.戦略とは生き残ることだ。
 ・商品は過剰で選択されるものになっている。代替案はいくらでもある
  のだから、生き残らなければならない。

2.戦略とは顧客の心をめぐるものだ。
 ・ポジショニングとは、見込み客の心の中で自社を際立たせる方法であ
  る。

3.戦略とは差別化だ。
 ・差別化の要素は、一番であること、独自性があること、伝統や文化が
  あること、イケてること。色々ある。

4.戦略とは競争だ。
 ・よい製品が売れるわけではない。競合他社に目を向けよ。

5.戦略とは専門性を持つことだ。
 ・総合性は弱い。専門性を持て。

6.戦略とはシンプルなものに限る
 ・顧客の心の中に、ひとつの言葉を植えつけること。

7.戦略とはリーダーシップ。
 ・現場から学ぶ。事実をトップに直結させる。

8.戦略とは現実を直視すること。
 ・目標設定の幻想を止めて、現実を直視せよ。

生き残るために戦略はある。その戦略とは、見込み客の心のなかで
優位なポジションを占めることだ。だが顧客の心は変えられるわけ
ではない。変えるための条件を整えることができるだけだ。

そこで、一番であること、など、顧客が受け容れる差別化をはっき
りさせよ。つまり、顧客を知ることより競合との差別化を重視せよ。
大きくなるより、差別化のための専門性を高めよ。顧客へのメッセー
ジも経営も言葉は明快なものにせよ。

現場を重視すること。目標設定をするより、現実の市場の動きを直
視すること。

この明快な態度は、一本の線を引くようにシンプルに響いてくる。
特に、専門性の強さ、目標設定の弱さは、はっと思わせてくれた。
時どき、めくってみたい。

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